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インタビュー 特別養護老人ホーム勤務の 看護師 ヒロコさん


現在、特別養護老人ホームで非常勤で週3~4日で働いているヒロコさんへのインタビュー


ヒロコさん 煌めく返り花 ニュースレターインタビュー

問:特別養護老人ホームで今どのような方が利用されていますか?

 私が勤めているところはユニットケアの老人ホームで5年前にできました。1ユニット10名で、そのユニットが8つ、つまり80名入所しています。1つのユニットはショートステイの利用者さん用のユニットです。

問:どのようなサービスをされていらっしゃいますか?

 特養は、基本的に介護士さんが生活をサポートするので、介護士さん5、6名はユニットに固定です。看護師は全ユニットの利用者さんの医療処置や健康に関する対応などを行っています。医師は処方のために関連病院からきます。リハビリテーションは施設専属のリハビリスタッフが1人います。しかし、1人だけだと回りきらないため、関連病院から言語聴覚士がサポートに来てます。  しかし、問題もあります。去年、一昨年くらいから看取りをしています。しかし、関連施設である病院は急性期ではないため、夜間や祝祭日の診療を受けてもらえないという制約があります。そのため、入居者が看取り段階になると調整が必要になります。徐々に、改善はされてきていますが、関連施設と言えどもなかなか大変です。

問:看護師さんは何名ぐらい配置されているんですか?

 今現在は、フルタイムの職員が4人、非常勤が2人、夜勤専門の非常勤が1人です。うちの特養は24時間看護師が常駐しています。夜間も必ず看護師が勤務するのでギリギリで回しています。日中は、2~3人、常勤4人のうち1人が科長なので、その科長と、あと2人配置できれば良い方です。スタッフが少ない時は科長ともう1人という状況です。科長と2人だと、イレギュラーなことが起こると、少してんやわんやです。忙しいです。


ヒロコさん 丹精のバラ

問:ヒロコさんは元々は病院で?非常勤になる前はされてたんですか?

 40歳までは病院で看護師、40~60歳までは看護学校で教員をしました。リタイヤのタイミングで近所に特養ができ、「特養で看護師さん探しているんで勤めませんか?」と話があったので、渡りに船でラッキーみたいな感じで働き始めました。

問:どのような方々が入居されていますか?

 現在、特養は要介護3以上でなければ入所できないので、皆さん要介護3以上です。またで、認知症の方が90%くらいです。認知症がない方は、70名中2~3名です。重度の方だと、お話しできないし、動けない状態です。かろうじて嚥下ができ、場合によっては胃瘻造設になっています。区の要請として、なるべく医療処置のニーズのある方を受けて欲しいそうです。ただし、看護師がギリギリの人数なので、結構キツい状況です。胃瘻の人、インシュリンの人、それから酸素の人、それから人工肛門だとか等々、医療処置が必要な高齢者さんが多いです。

問:入居している方々は、日中はどのようにどのように過ごされていますか?

 普通の生活をされています。衣食住きちんとサポートされ、レクリエーションや個別のリハビリ、音楽療法に時々参加します。音楽療法は、近隣の病院から音楽療法士さん訪問し、2つのユニット同時に週1回行っています。つまり、ユニットは8つなので利用者は1ヶ月に1回音楽療法に参加しています。ただ、入居者さんはみなさんサポートが必要な状況です。軽度の認知症の方々は、結構主体的に自分の生活を送っていますが、認知機能の低下が進行するとサポートが必要になります。でも、1日ベッドで過ごす方はほとんどおらず、みなさん離床し、朝からラウンジで過ごします。ご高齢で休む時間を設けなければいけない人たちは、食事の後1~2時間の臥床時間を設けます。認知症の方は、「もう少し寝ていたい。」という私たちとは違い、起きたり、着替える方法が分からなかったり、時間的感覚や見当識がなく寝ているので、サポートしなきゃいけないと思います。

問:認知症のある方とは、どのように関わられていますか?

 私は老年看護学の授業で認知症の看護について講義していましたが、認知症があろうがなかろうが基本通りかなという気はします。

問:看取りの方には、どのように関わられていますか?

 私が関わった1人は、慢性呼吸器不全の男性です。認知症もないため「もう治療はしたくない。」と意志表示をされました。肺炎になってからは、多少飲み薬を使いましたが、「病院に入院したくない、これ以上点滴したくない」と話していました。最期はタイミングよくご家族もいらして、病院から嘱託医が来ている時に亡くなられました。看取り期間は2、3日でした。

 それと施設最高齢105歳の方も担当しました。100歳過ぎた頃から、2日寝て2日起きるという生活リズムになり、徐々に3日寝て1日起きる状態になりました。そのため水分が取れない、食べられないとなりました。家族も「そのままで」という事で、ほとんど食べられなくなってから2週間弱くらいで本当にすーっと亡くなられました。自分の看護師経験であんなにきれいに人って死ねるんだって思いました。ほんとに枯れるように最期を迎えた方でした。

 その反面、ご本人の病気によって看取れない場合もあります。点滴や酸素吸入を希望される場合は、うちの施設で看取りができないことになっています。そのため、「施設で最期を迎えたい」とおっしゃっていても、肺炎が悪化し、呼吸困難になった場合は、病院に入院する形になることもあります。

 看取りに至るプロセスで、うちの施設の条件で看れるかどうか、ご家族の中で意見がまとまっているかどうかという点が重要です。病院や老健などから看取りで特養に来るということはなく、入居をしていてその段階になった時に、そのまま施設で最期まで過ごしたいか、それとも、病院に入院し少し生きる期間を延ばしたいかという選択になってきます。

問:今後、あったらいいなというサービス、設備、職種はあったりしますか?

 +αというよりは、看護師なり介護士の数がきちんと安定して確保された方がいいです。まずは人だと思います。看護師よりも介護士さんの方が流動的かもしれないです。介護士さんも結構ハードな仕事のわりに給料が安いのです。だから、新卒でなる人も少ないです。あとは社会人から転職した人が馴染むか馴染まないかですね。

 ハード面に関しては、施設のデザインがいいんです。明るくて素敵です。ただ、日常生活が低下して、2人介助が必要になったときにトイレや風呂場が狭いと感じます。もちろん専門のデザイナーの人が動線を考えているとは思いますが、実際に使ってみるとスペースの問題があったりします。引き戸はいいけど、ベッドが出ないとか。今、食事が摂れた時はラウンジに出て、認知症のある方の面倒を見たり、ラウンジで大正琴を弾いていた看取り期の方がいるのですが、段々と衰えてしまったので、「今までの生活を大事にしながら最期まで送りたい」と思い、1時間だけでもラウンジにベッドごと出せたらと思うのですが、ベッドが出ないんです。

問:高齢者のシェアハウスという計画がありますけども、それについてどう思われますか?

 すごい素敵だと思います。私なんかもう学校にいるときに学校の先生達と高齢になったらみんなでグループホームみたいなの作って、みんなで年取ったら介護し合おうなんて話を冗談で言ってたことがあります。だから、それは1つの、家か特養か病院かじゃなくて、もちろんケアハウスとか、1つの高齢者の住み方生き方の選択肢として色々なバリエーションがあるのはすごく良いと思います。そういうのが苦手な人もいるかもしれませんが、私がイメージするのはどうしても女性なんですよね。男性は多分なかなかそういうのは遠い気がするので。だから、女性だとキャリアウーマンで自分の人生楽しみながら生きていて、結婚もしていなかったり、もしくは、夫が先に逝っちゃて子供が遠くて寂しいから、人を感じていたり、話していたり、ほどよい距離感で生活していきたい、でもべったりは嫌、みたいな人はたくさん出てくるんじゃないかな、と思います。そういうのは男性は難しそうですね。適応力は女性の方が絶対高いですね。

(たすく,のりお)

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