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良かった本:「田舎のパン屋が見つけた腐る経済」 経営理念は利潤を出さないことと書いてある本


この本を知ったのは,A〇zonから届くおすすめ本のリストにあったからでした.

タルマーリーというパン屋さんを経営する渡邉格さんの「田舎のパン屋見つけた腐る経済」(講談社,2013)


煌めく返り花 渡邉格 田舎のパン屋が見つけた腐る経済

なかなか刺激的なのは,帯にある「発酵」の文字.発酵って文字をみるだけでもうっとりします.さらに帯に「経営理念は利潤を出さないこと」と書いてあります.どういうこと?そして,あこがれる気持ちがむくむくします.

読み,再認識したのは,有機栽培と自然栽培の違い.渡邉さんは,パンの発酵を自然に任せたり,さまざまな試みをするのですが(たとえば,床を作るのに赤いカビを口にして即刻げろ~って出すような人体実験もするわけです),そのなかで,その土地,建物,水に合った菌を探し,パンを作るのです.これが有機栽培でできた材料と,自然栽培のそれとでは全く違う結果になるのです.一方は腐ります.もう一方は発酵していくのです.驚きでした.どちらも良いものだと思っていたのですが,違いがあるとは.自然栽培と言えば,青森の「奇跡のリンゴ」が有名ですね.そして私にとっては母の畑がそれです.あの畑のジャガイモ,サトイモ,キュウリ,他本当においしい!


             (↑これはタルマーリーのパンではないので気を付けて.イメージってやつです.)

そして,目指すパンを作れるようになった渡邊さんは,発酵,循環,利潤を生まない,パンと人を育てるという腐る経済を目指すのです.

「経営理念は利潤を出さないこと」に,うっとりした理由.

1つ目は,利潤追求はこれ以上の格差を助長すると思うからです.ちょうどよいぐらいの収入を得ることが大切なのではないかと思うようになったからです.  この世は搾取が横行していますからね.ちゃんと働き,ちゃんと生活できないなんて困ります.一部の人が過剰に利潤を追求することが周囲を巻き込み,資本主義が強烈に作用すことに疑問を持つようになったからです.

 先週参加したフォーラムで,子どもの貧困対策に子ども食堂が効果をなしているという報告があるが,食堂だけでよいのか,こどもの貧困には親の労働状況の問題があるのではないかと発言していた方があり,がび~~ん!!と来たのです.そうだ,こどもにだけ目を向けている場合ではないのです.搾取は作業的不公正を生み出します.

2つ目は,シェアハウスの経営計画を立てる際に,利潤をどのように考えるべきか悩んだという経緯があったからです.利潤を出さないと言えるなんて,すごい...「正当な対価」を得るべきという言葉が,私の事業の相談に乗ってくれている方々から発せられてきました.御意!!でした.今の私は「正当で適当な対価」が良いのではないかと思います.多すぎず少なすぎずが良いのではないかと.(はい,コンサルしてくれている友人たち,仲間のメンバーみんな,驚きましたね.またディスカッションしましょう.)

3つ目は,利潤は金銭的なものだけではないだろうと気づかされたからです.時間という利潤があれば,私ならしたいことがさまざまできてうれしいです.シェアハウスの運営以外にも,作業療法をしたいし,教育に関わりたいし,学びたいし,そして友人と楽しく遊んで,夜はたっぷり寝たい.

 タルマーリーは週4日営業です(職人たちはパンの仕込があるので週5日働いているわけです.)なぜ週4日営業なのかというと,パンだけに心が向いているとよいパンが作れない.それ以外にも必要だとあるのです.

 そうですよ~~.

というわけで,楽しく読み,感銘を受けたおすすめ本でした.

タルマーリーは岡山県のパン屋さんなので,食べることができないと思っていたら,渋谷にヒカリエに月1回出店しているんです.これを買いに行こうか,実は悩みます.地域で小商いをしているパン屋さんのパンを手にできるとは,,,と.そして,よし買おう!と思う時には売り切れている.なんだか煮え切らないパン愛なのです.

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