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カリフォルニアから来た娘症候群


カリフォルニアから来た娘症候群の説明を読んだ時、「あるある!」と思いました。同時に、急に出現するご家族のことばに翻弄される本人、家族、関係者の焦燥した様子を思い出しました。

        

 カリフォルニアから来た娘症候群とは、これまで家族と医者が時間をかけて話し合っていても、遠く離れていた家族が現れ、異議を唱え、方針が変わることを指しています。特に延命治療などの方針転換で顕著に現れると報告されています。では、遠方から来た家族の意見をないがしろにできるかというとそうもいきません。その主張も正義から起こることですから。


 私も経験をしたことがあります。長い入院を経て、退院後の生活を想定し、自宅で訪問診療、訪問看護、リハビリテーションを受けながら、家族や愛猫と過ごすと本人と家族が作戦を立てていました。ある日、遠方から本家の当主が来て「治るまで病院で治療すべきだ」と訴え、結果、自宅に帰らず転院していくことを経験しました。


 また、 高齢者施設で救命処置をしないことをご家族が決めていても、面会に来た親戚が「かわいそう。出来る限りの医療をうけられないなんて、ひどい。」と主張し、急遽救急車を呼ぶことになったと聞いたこともあります。


                     (写真はカリフォルニアロール...)


 他方、救命処置を行わないと決めていた方が、救命処置の結果回復し、退院して家族と楽しそうに過ごしている場面を見たこともあります。


 最近は、超高齢の方の場合、ご本人が、または本人が意思を発せないときは家族などが、延命を希望しないことも多くなっています。終末期に生命維持装置を付け延々と延命治療が続くことは、本人の苦痛につながることだと考えられ、回避されるようになってきました。。


 2025年に団塊の世代が後期高齢期(75歳以上)になることから、救急搬送が多くなり、病床を多く占めていくことが予測されています。必要な人が医療を受けられるようにするという側面からも、上記は憂慮すべきことではないかと言われています。


 延命治療を回避することが大切なのではなく、家族で話し合い、自分の意思を伝えておくことも大切と思います。いざという時はどうなるか分からないのが人生でしょう。私だって、自宅で死を迎えることを望んでいても、苦しくて辛かったら、「救急車よんで」と言うかもしれません。


 ただ、家族と話さないことで、自分がカリフォルニアから来た娘症候群には陥らないようにしたいなと思います。


 カリフォルニアでは「シカゴから来た娘症候群」と言うそうです。


Molloy DW, at.al., :Decision making in the incompetent elderly: “The Daughter from California syndrome”. J Am Geriatr. Soc. 1991.

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