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執筆者の写真煌めく返り花

芸術がもどってきますように

私が初めて海外旅行に訪れたのはモスクワでした。40年近く前、ペレストロイカ以前の「ソビエト連邦」と呼ばれていた時代でした。


知人が在モスクワの日本大使館勤務となったので、査証を取得して訪ねたのです。モスクワ市内だけの旅行でしたが、「ロシア」の雰囲気を満喫しました。


クラシックバレエファンの私は、知人にチケットをとってもらいボリショイ劇場を訪れました。天井が高く、階段の手すりは彫刻がほどこされ劇場そのものがとても美しいものでした。バレエの公演を見る前から大喜びでした。ボリショイ劇場にいた時間が感動だったことを今も覚えています。



今、ウクライナ侵攻により、そのボリショイバレエ団の主役級のバレリーナの退団が続いています。世界中のバレリーナがあこがれる舞台。ほんの一握りのバレリーナだけが獲得する主役の座。しかし、その座を手放し、ボリショイバレエ団を去ろうとしているバレリーナ達。


ボリショイのバレエがどんなに素晴らしくとも、「ウクライナの地で戦争を行っている国のバレエ団で何もなかったように踊ることはできない」と決断したのです。とても残念で悲しいことです。ミサイルや砲弾が平和と安全な生活を壊してしまうだけではありません。


武器と無縁な芸術家たちの人生も狂わされて狂わされてしまいました。モスクワの地下鉄の構内はモザイクの壁画が施されて、まるで美術館の中のようでした。ホームは地下かなり深いところにあり、「防空壕になる」とこの時聞きました。



今ウクライナで市民が地下鉄構内を防空壕として爆撃を避けるために逃げ込んでいる映像を見て、何十年前のモスクワの地下鉄を思い出しました。本当に防空壕として使われるとは、あの時は思いもしませんでした。地下鉄が日常の通勤に使われ、ボリショイ劇場で誰もが心からバレエを楽しむ、そのな毎日が一日でも早く帰ってくることを心から祈っています。

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